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進化するトイレと 今後のメンテナンスについて【後編】パネルディスカッション

第9回 トイレ連絡会議 東京大会 リポート

2013年11月に開催された、(一社)日本ショッピングセンター協会の勉強会「全国トイレ連絡会議」。前回、商業施設のトイレのメンテナンスをテーマに行われたパネルディスカッションの、前半の模様を紹介した。今回は後編として、清掃会社とオーナーとの関係などが話題となった後半の内容をお届けする。

コーディネーター:小林純子 (有)設計事務所ゴンドラ代表
吉廣幸夫 ㈱サン総合メンテナンス クレンリネス部 教育担当
パネリスト:仁科正夫 ㈱トヨタオートモールクリエイト カラフルタウン岐阜 プレジデント
中沖 徹 ジェイアール東日本ビルテック㈱ ビル事業本部 業務品質統括部 品質管理部 清掃グループ 担当部長
黒川貴子 ㈱セントラルビルメンティナンス 業務二部 次長
浅輪亮之 ㈱セシオ 営業サポート 次長
月村一貴 ㈱東日本環境アクセス 研修指導部 スーパーバイザー


 

パート4 オーナー様に理解していただく活動

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小林 ここからはオーナー様への理解活動をテーマにしたいと思います。みなさんは、清掃についてオーナーに理解していただくため、どういう活動をされているのでしょうか。

月村 わが社では、各事業所の所長がマンスリージョイントレビューというものを行います。オーナー様のところに行き、出勤される日時を確認したりご意見を伺ったりして、その内容を毎月まとめて本社に報告します。ただ、清掃はタイミングも重要ですので、その都度本社に報告して臨時で清掃を行うこともあります。
 また、私たちの物件では年1回もしくは半年に1回程度、ジェイアール東日本ビルテックさんによるインスペクションを実施しております。また、社内のインスペクターによるインスペクションも毎月行っています。
 そこで私の希望としては、オーナー様の営業部の方にも同行していただき、私たちの会社がどういうところに注意をして、どういうところを清掃しているのかなどについて理解をしていただきたいです。そうして意識を共有することで、チームとして美観を維持できると思うからです。

浅輪 私どもの会社は、このテーマが一番の弱点なのですが......。
 飲食店やチェーン店さんからの要望で一番多いのは、本部サイドが店舗の状態を把握できていないため、トイレ清掃管理に行った際、一緒にトイレの状態をチェックして報告してほしいということです。それが全国規模の店舗になると、こちらの報告が店舗に反映されているかどうかまでは追いかけられてない状態です。

黒川 私どもの会社では、現場責任者に対しては、管理会社様やオーナー会社様の担当者に、まめに報告・連絡・相談をするように言っております。なかでも急を要する場合は、わかりやすく説明できるよう、写真を貼付した資料を作って報告に行くよう指導することもあります。ただ、一番いいのは困った状況になったときにはオーナー様に現場に来てもらい、話し合いをしながら、作業内容やコストについて説明をすることだと思います。

中沖 弊社では、年に1回ないしは2回インスペクションを行って報告書を提出します。できれば、オーナー様の担当者に直接ご説明したいのですが、興味のあるオーナー様と、興味のないオーナー様がいらっしゃいますね。品質の良くないところにはひと月交代で入るというような活動をして、ご理解いただいております。また、オーナー様と一緒にまわることも何度か実施しております。

小林 仁科さんはオーナー側ですが、逆の立場からどう思っておられますか。

仁科 私どもはラスカさんに勉強させていただいて、今では定期的に清掃の方と打ち合わせするようにしています。頻度が多いと営業妨害ならぬ"清掃妨害"になってしまいますので、年に何回か意見を聞かせていただきます。
 それで、本日参加させていただき思ったことを申し上げたいと思います。それは、評価の客観的な基準がなかったということなんですね。これまで、お客様からクレームがあったり、事故など何か対応すべき事項が発生したときに会議をやることはありました。しかし、普段一緒に見て回って、どこが良い悪いということを情報共有していませんでした。そういうことをせずに、会議の場で思いつきのような発言をして精神論を述べることがあったのです。その点の不足を、今は痛感しています。
 質問の答えになっておりませんが......。

小林 具体的にどう困っているのか。報連相の話ではありませんが、きちんと伝えて共有していくことが大事なのですね。

パート5 これからのメンテナンスには何が必要か

小林 次は最後の議題です。これからの商業施設のトイレ、およびそのメンテナンスに必要なこと、重要な点について聞かせていただければと思います。

中沖 私はハード面についてはよくわかりませんが、ある程度出つくしている感じがします。
 ソフト面はどうかというと、たとえば営業時間中は常にスタッフがトイレに待機することが考えられます。なぜかというと、トイレが快適になってきた結果、本来の目的ではない用途に使われるようになったからです。
 具体的には、トイレで飲食されるお客様がかなりいらっしゃいます。朝の立ち上げ清掃では、ビールの空き缶が落ちていたりということも結構あります。モラルなのかわかりませんが、そういうところが変わってきている気がしますね。

小林 それに対応していくには、ソフトというか、見守る人が必要なのではないかということですね。

黒川 私が思うメンテナンスは、快適な空間をお客様に提供するということです。それはもう必須ですね。そのために技術レベルの向上はあって然るべきだと思います。もうひとつはサービスマインド、おもてなしの心が必要です。さらに、何か災害があったときに対応できる、機敏性を身につけるための教育が必要だと思います。
 また、中沖さんがおっしゃったようにトイレを違う用途で使う人、個室にこもって何かを食べる人が確かにいて、それはオフィスビルでもあります。こもって食べる方たちの心理状態はいろいろだと思いますし、デリケートな問題です。
 私たちにできることは、見守ること、何かあったら報告することですから、そういう意味でソフト面の対応が必要になってくると考えています。

小林 真実は現場に宿るといいますが、現場を見守っていると、現代の心の病のようなところまで見えてきてしまうのですね。

浅輪 結局、どんなにトイレの設備が良くなっても、することの基本は排泄行為です。そこには、いろいろな菌やウイルスの問題があります。そこで、感染リスクを回避するためのメンテナンス方法というのも、これから必要になってくるのではないかと思います。
 ちょうど、ある飲食チェーン店さんからそういった相談を受けました。店から感染症の患者が出るのが怖いからです。不特定多数の方が利用するお客様用のトイレは防ぎようがないですが、従業員のトイレに関してはメンテナンスできちんと防御したいということでした。やはり、店舗が感染源になると企業としてのダメージは大きいですから。商業施設のトイレも、ある程度やりつくしたら同じような対応になっていくのではないでしょうか。

月村 私は体験をもとに申し上げます。ラスカ様では、3か月に1度トイレメンテナンス会議が行われておりまして、オーナー様のラスカ様、設備のビルテック様、清掃のアクセス、この3社で話し合いをする場を設けていただいております。そこでは、トイレの現状と今後の対策ついて、またリニューアル工事がある場合はどういう建材を使うのか、どういう便器がいいのか、SK室の位置はどこがいいのかなど、突っ込んだ話をさせていただいております。
 事前にどういうトイレが入り、どういう床材・壁材を使うかがわかりますから、メンテナンス会社からすれば、大変ありがたいことです。
 ですから今後については、トイレをリニューアルする際には設備の業者、清掃会社などを少しでも入れていただけるよう、オーナーの皆様にはお願いしたいと思います。維持管理を行う立場の人間が入ることで、完成したときの話題性だけで終わらず、継続して美観を維持できると考えるからです。

小林 ラスカは19年で一巡して新しいトイレを作られます。19年経ってもトイレはとてもきれいです。メンテナンス会議を中心に、いろいろな方が心を砕いてやってきた成果ではないかと思います。では最後に吉廣さん、今日のまとめをお願いします。

吉廣 いろいろなお話を聞いて思ったことは、メンテナンスする側に立てば、やはり教育訓練の問題になるということです。つまり、言い聞かせの問題なんですね。ただ、その"言い聞かせる"部分というのは、現場を預かった人間のリーダーシップ次第、ということになると思います。
 もう一つは、オーナーの思いがないと絶対にうまくいかないということです。「おもてなしの心」というのが最近はやっていますが、本当にそういうことを心底から思っているかどうかですべてが決まる。これは、すべてにおける"原点"だと言えます。
 それから、日本の人口構成の変化によって、清掃の現場を主力として担ってきた団塊世代がどんどんリタイアをはじめています。その後を埋める世代がいるのかということが、非常に大きな問題になりつつあります。私のおります中京圏ではまだそれほど深刻ではないのですが、首都圏の話を聞いていますと採用が困難になりつつあるようです。これは、オーナーサイドにとってはコストの問題になります。解消するためには、最終的には経費の問題につながってくるからです。
 今後は、こうした社会的な構造変動要因のなかでトイレ清掃そのものについて考え直していかなければ、うまくいかない面もあるのではないかと思います。こういったことを、別角度からの問題として提起させていただきます。

小林 仁科さんにも、最後に一言いただきたいと思います。

仁科 私ども運営する立場からしますと、トイレを完成させた後のメンテナンスは経費になります。ただ、完成までに多くのお金を使うことはできても、メンテナンスにはなかなか使えないのが現状です。本日みなさんのお話を伺っていて、メンテナンス技術についてもパートナー間における連携においてトライアルが必要だと感じましたし、そういう意味で、私たちはメンテナンス技術の開発コストも考えて経営していくことが重要であると思いました。

小林 最後にまとめていただいたように思います。 本日はどうもありがとうございました。(了)

全国トイレ連絡会議について
本会議は、商業施設間の競争激化に伴い目覚ましい発展を遂げている商業施設トイレに関して、商業施設のデベロッパーのみならず、設計事務所、設備管理会社、清掃会社、メーカーなどが集い毎年開催されている。新しいトイレのカタチ、メンテナンス、技術的なデータ研究、最新の開発・リニューアル事例発表など、問題解決への糸口を探る勉強会である。
昨年の第9回東京大会には64社から約260名が参加し、過去最大の規模となった。
今年、第10回大会は大阪での開催を予定している。



第9回トイレ連絡会議東京大会・レポート 前編はこちら

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