ガラス外装クリーニングからトータル外装メンテナンスの技術集団へ
文=東京外装メンテナンス協同組合 代表理事 日吉俊行
価格競争の激化で組合活動を転換
私ども東京外装メンテナンス協同組合(略称TEC)は、平成3年(1991年)6月、全国で唯一の窓ガラスや外壁クリーニング専門の事業協同組合として、当時、(社)東京ガラス外装クリーニング協会で活動していた4社により、東京都知事の認可を得て発足しました。
協会の目的は「労働災害の防止」「知識と技術の進歩向上」「業界の健全な育成発展」ですが、組合は商売を重視し、ガラス外装クリーニングの分離受注(オーナーからわれわれ専門業者へ直接発注)と、行政案件の受注を目指しました。
組合企業が10社に増えたころからは、行政入札のより高いランクの受注に対する活動を行いましたが、組合の所在地である千代田区で数回臨時案件を受注したものの、年々価格競争が厳しくなり、なかなか組合が思うような価格では受注できない状態が続きました。
そんななか、ある組合企業の社長が病気で亡くなったり、またある社がM&Aで会社を手放したりと大きな出来事が起こりました。そのころから、「このままではダメではないか、なんとかしなければいけない」という気持ちが高まり、組合を継続するのか解散するのかを含めて長時間の会合が何回も開かれ、今後の方針や事業計画を作ろうと、合宿して議論を続けました。
自分たちの強みは何かについて考えた結果、「窓ガラスクリーニングをする際に、建物を外側から観察する機会があること」に行き着きました。ブランコやゴンドラで窓ガラスや外壁を清掃しながら、いろいろな不具合を発見することがあるのです。
例えば、外壁タイルの剥落や浮き、外壁のクラック、シールの劣化、鉄部の錆びや塗装のチョーキング、ベントキャップの詰まりなどです。また、屋上には屋上防水や排水ドレン、パラペット、フェンス、配管のラッキングなどたくさんのものがあります。これらを写真付きの簡単な報告書にして提出することは、ビルオーナーやビル管理会社にとっても大変価値があるのではないかと考えました。
いままでは報告をしても、補修はビル側から専門業者に発注されるのが常でした。しかし簡単な補修なら、われわれで対応可能です。建物の形状や不具合状況を熟知していればこそ、適切かつリーズナブルな価格で対処できるのです。
幸い、組合員10社のうち3社が建設業の登録を持っています。実際に窓ガラス清掃時に発見した外壁の欠損の報告が、大規模改修工事につながった例もありました。そこで、外装の不具合についての勉強会や施工技術の研修会などを開催し、清掃・点検・補修にトータルに対応できることをめざしました。
外装メンテナンスの技術サービスを提供する。その方向が固まったことから、平成22年5月、現在の組織に改称・改組しました。
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