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ビルクリーニング オンライン

2012.06.14

さらに快適なトイレ空間

ディズニーランドのトイレ清掃と㈱アメニティのトイレ診断に学ぶトイレの理想的な維持管理

日時 6月14日(木)14:00 ~ 17:30
※13:30 より受付開始
会場 大塚商会本社ビル302 セミナー会場
(東京都千代田区・JR 水道橋駅、飯田橋駅より徒歩6分)
参加費 購読者…無料
非購読者…7,500円
定員 100名(1社5名様まで)
申し込み期限 2012年5月31日(水)
※先着順・定員になりしだい締め切らせていただきます

ビルの維持管理業務の中で、トイレメンテナンスに悩んでいる担当者も多いはず。トイレにこそ、ビルメン会社の力量も問われます。キーワードはずばり「アメニティ」(=快適さ)!
あなたの現場を"快適なトイレ空間"にするために、ホスピタリティに満ちあふれたディズニーランドのトイレ清掃と、"トイレ診断士"の育成を通してトイレのトラブル解決を推進する(株)アメニティから、あるべきトイレメンテナンスを学びます。ぜひ、ご参加ください!

14:00 第1講座 「日本のトイレ文化を世界に広める挑戦」
(株)アメニティ 代表取締役社長 山戸里志
トイレの総合メンテナンス事業を全国にフランチャイズ展開する㈱アメニティ。単なる清掃にとどまらない、トラブルの解決や維持管理の方法を提案するために必要となる事前の「トイレ診断」とは?
15:30 第2講座 「東京ディズニーリゾートにおけるレストルーム清掃の考え方と実際」
(株)チャックスファミリー 代表取締役社長 安孫子薫
世界一の清潔さを誇る東京ディズニーランドで、カストーディアル(清掃スタッフ)マネージャーを勤めた安孫子氏が実際のエピソードを交え、これから目指すべきトイレ清掃のあり方をお伝えします。
16:40 特別講座 「ITツールの活用でコスト削減」
(株)大塚商会 システムプロモーション部 遠山新一
厳しい経営環境を乗り切る鍵、ビルメンテナンス業向け販売管理システムの活用で、業界特有の複雑な業務を効率化し、コスト削減するためのポイントをご紹介します。

セミナーリポート

トイレ診断士が公衆トイレの4K(臭い・汚い・暗い・怖い)を変える日本とトイレ文化を世界に広める挑戦 より

(株)アメニティ 代表取締役社長 山戸里志

トイレには臭い、汚い、暗い、怖いの4Kがつきまとう

トイレを語ることによって、環境・教育・経済・健康・文化などそれぞれの問題が見えてきます。たとえば、子どもが小さいうちにトイレの行儀作法を教えることも教育の大切な部分です。
人間生活には衣食住の三要素が欠かせませんが、これと切っても切れないものが「排泄」になります。衣食住には好き嫌いがありますが、排泄やトイレのイメージは、臭い、汚い、暗い、怖いの4K が常につきまとっていますので、これを好きな人は誰一人としていないでしょう。極めてわかりやすい問題ですので、それを管理し、見違えるようにするのが、弊社の腕の見せどころであります。

トイレ診断士の仕事「数値化」と「見える化」

まず、弊社の「トイレ診断士」制度についてご紹介します。
トイレをどんなに良い設備にしても、その管理をしっかりしなければ、4Kからは脱しません。そのためには、トイレのいろいろな問題を判断し、解決する人材が必要と判断し、トイレ診断士制度を設けました。
トイレ診断士は平成15 年に厚生労働省が認定した社内検定制度で、現在130人が活躍しています。
トイレ診断士の仕事は、主にトイレの汚れの原因や臭気の種類を判定し、環境の改善につなげることです。
診断士は、①トイレ診断、②設備改善支援(リフレッシュメンテナンス)、③定期巡回管理(リピートメンテナンス)、④機能・美観復帰(リフレッシュメンテナンス)を順番に行うトイレマネジメントシステムにより、継続的にそれぞれの診断先を巡回しています。
トイレ診断の特長は主観ではなく客観的に診断し、トイレの姿を表現するということです。< br>  汚れや臭気も場所によってさまざまです。例えば臭いもアンモニア臭、下水臭などあり、その臭いの質や強さもいろいろ変わってきます。それらの問題点を数値化したり、写真や図を用いて見える化して報告書に記載し、お客様に説明します。この報告書によってお客様は自分のトイレがどんな状況にあるかが明確に理解できますので、報告書は非常に重要です。
トイレ診断とはトイレ診断士が行うトイレの健康診断です。医者がレントゲン写真や検査結果を患者に見せながら病状を説明するのと同じ考え方です。
本来トイレ診断は、お客様のトイレ環境を快適な空間にするために無償で行っていたものですが、最近はトイレ診断の精度が高いという評価をいただき、トイレ診断のみの仕事を依頼されることも多くなってきました。

「トイレ診断士の厠堂」公衆トイレの命名権獲得

次に弊社が公衆トイレの命名権(ネーミングライツ)を持つ「トイレ診断士の厠堂」についてご紹介します。
世界で初めてと言っていいと思いますが、渋谷区役所前の公衆トイレの命名権を3年前に取得し、「トイレ診断士の厠堂」と名づけました。
公衆トイレは命名権を募集しても応募者が現れない状況でした。なぜなら公衆トイレは4K トイレの代名詞であったのと、ほとんど無管理状態であったためだと思います。この無管理状態のトイレを管理できたら、4Kはなくなりますので、今まで培ってきたトイレ診断技術を発揮すべく、弊社が命名権を取得して管理することとしました。
取得当時、このトイレは既存の設備そのままでしたので、4Kトイレのままでした。
トイレは使用するたびに汚れていきますが、その場所をいかに維持管理するかがポイントとなりますので、このトイレをどのように変えていったかをご紹介します。

1. トイレ診断士による診断

まず、トイレ診断士による徹底的なトイレの診断を行いました。
臭いや汚れはあるのか、その原因は何なのか、どれくらいの強さなのか、ということを診断し数値化しました。この数値化することがトイレ診断の基本で、数値化させればどの程度の数値ならば、臭いや汚れを感じるのかがわかると同時に、その原因も見えてきます。 診断結果に基づき、トイレを徹底的にリフレッシュしました。

2. 予防型の維持管理

リフレッシュ後は、予防型の維持管理へと移行しました。
通常トイレ管理は後処理型で、汚れたら清掃するというものですが、ここでは汚れないタイプの清掃に切り替えました。特に男性用トイレでは尿石が原因でアンモニア臭が発生してきますので、オリジナル商品の尿石付着防止剤(ピピダリア)などを使用し、尿石をなくすことに力を注ぎました。

3. 週3回のパトロール実施

清掃は命名権取得以前と同じ清掃業者が毎日1回1時間行っていますが、そのほかに弊社のトイレ診断士が週3回のパトロールをして、良い点、悪い点を報告書としてあげています。報告書に基づき改善を繰り返すことで、おのずとトイレ環境が良くなってきました。 4Kトイレの代名詞であった公衆トイレがトイレ診断士のトイレサービスによって、快適なトイレ環境の実現が実証されました。
現在、渋谷区役所前のトイレは、契約の更新を行い4年目に入りました。この契約更新時には「アメニティに任せておけば心配はない」という話をいただき、ほとんど無条件で更新されました。 昨年11 月には横浜市と契約し、新横浜の駅前に、「トイレ診断士の厠堂」の2か所目をオープンさせました。

トイレ診断とメンテナンスの3つのキーワード

最後にトイレ診断やメンテナンスを行ううえで重要となるの3つのキーワードをご紹介します。

1. オリジナル性
弊社が独自にサービス技術や製品を企画・開発し、まねのできないシステムとなっています。

2. 人材育成
2つ目は人材育成です。誰もが同じ仕事ができる能力を持たせ、いろいろなトイレの問題に対しチェックし、明確に数値化し判断できることや、診断時などにお客様とのコミュニケーションをしっかり行える人材を育てる必要があります。

3. 継続性
3つ目は継続性です。お客様のトイレをトイレマネジメントシステムにのっとり、計画的に巡回し、その案件を継続的に見ていくことが必要です。

弊社のテーマは「日本のトイレ文化を世界に広める挑戦」です。
日本をトイレから変えて、環境、教育、経済、健康、文化の先進国を目指し、トイレのオンリーワンビジネスを今後も展開していきます。

セミナーリポート

SCSE(安全・配慮・見せ方・効率)に基づくレストルーム清掃東京ディズニーリゾートにおけるレストルーム清掃の考え方と実際 より

(株)チャックスファミリー 代表取締役社長 安孫子薫

ディズニーのパーク運営理念

清掃はただすればいいというのではなく、清掃に対する考え方が明確でなければいけません。

ディズニーには明確でかつシンプルな清掃の考え方があります。
社員やキャスト(スタッフ)には、ディズニーの運営理念であるゲスト(お客様)への「ハピネス(幸せ)の提供」を教えます。
パーク内の清掃業務を行っている「カストーディアル」というキャストがいますが、カストーディアルにも理念を繰り返し伝えることにより、何のために清掃をしているのかを理解させています。

キャストが順守する行動指針

キャストが守らなければいけない「SCSE」という4つの行動指針を設けています。

1. S(Safety:安全・安心)

ゲストの安全と心が安らぐ場を提供することです。

2. C(Courtesy:礼儀正しさ)

ディズニーのゲストに、印象に残ったものを聞くと「キャストの親切さや礼儀正しさ」が常に上位に入っています。親切さや礼儀正しさがゲストの心を動かす力になっているのかがわかります。

3. S(Show:見せ方、見え方)

エンターテイメントだけでなく、美しさ、清潔さ、身だしなみもショーです。先の回答でも「清潔さ」も必ず上位に入っています。

4. E(Efficiency:効率)

仕事では、チームワークも大事です。カストーディアルはディズニーランドだけでも日中で最多500 人が働いていますので、皆で力を合わせ効率よく働いて結果を出すことが大切です。

これらの4つの行動指針がキャストの動きの根底にあるから、「ハピネスの提供」ができるのです。

ディズニーの品質の考え方

次にディズニーの品質に対する考え方をご紹介します。

品質の基本は、毎日が初演のつもりで、きれいにして原状復帰するということです。ゲストの立場に立って考えればわかることですが、日によってクオリティが異なっていたらゲストは戸惑ったり、不公平感を感じて結果的に来なくなってしまいます。キャストはディズニーの考え方の基本である「すべてのゲストはVIPである」に基づき、毎日、開園初日のような舞台づくりと、フレッシュな気持ちで仕事をしてクオリティを保ち、ゲストが満足できるように心がけています。
この品質を考えるうえでもっとも重要なことは、効率(E)から物事を考えてはいけないということです。SCSをしっかり行っていれば、その結果からおのずとEが見えてくるのです。

カストーディアル行動の考え方

カストーディアルの行動には3つの明確な考え方があります。

1. 目的は清掃ではなく、ゲストへのハピネスの提供である。
2. 汚れたら清掃するのではなく、汚れる前に清掃する。
3. 赤ちゃんがハイハイできるくらい安全で清潔なパークの提供。

ビルメンの現場では仕様書にしばられてしまい、仕様書通りの回数の清掃を黙々とこなしている現場も多々見られます。そうすると床は毎日清掃しているが、他は月に1回しかやっていないなど、下はきれいだが、上は汚いなどのケースも出てきます。
清掃は全体がバランスよく美観を保つトータルバランスクリーニングが大切です。ディズニーには定期清掃という概念はなく、適宜最適な処置を行うユーティリティ清掃を重要視しています。これを行ううえで重要なのは日頃のチェックをしっかり行い、どこをどう清掃するかを見極めることです。
スーパーバイザーによる、スーパービジョンというチェックを頻繁に行っていますが、この指導はマニュアルよりも優先します。なぜなら、スーパービジョンはカストーディアルの3つの考え方に基づいて行っているからです。

レストルームのSCSE

レストルームにもSCSEの考えが貫かれていますので、主なものをご紹介します。

1. S(安全・衛生)

ゲストの安全が第一ですから、設計段階から安全を考えたものにしています。たとえば滑りにくい床を採用したり、ハンドペーパーなどの設備は壁に埋め込むフラットな構造としています。また、個室の扉に指を挟まないような扉も採用しています。
清掃では衛生を最優先して、毎日腰壁くらいまで、洗剤による洗浄を行ってます。その際キャストの安全衛生も大事ですので必ず手袋を着用して作業しています。

2. C(配慮)

子どもさん用に高さを低くした手洗いや、小さな便器を用意したり、ハンディキャップを持つゲスト用のバリアフリーのレストルームも合計で77 室設けています。
また、世界的には異性の清掃スタッフがトイレ清掃を行うケースは非常に少なく、恥ずかしいと思う人が多いので、男性トイレは男性スタッフ、女性トイレは女性スタッフが清掃しています。グローバルなこの時代においては、この考えは必要ですので、ビルオーナーに提案してみてもいいでしょう。

3. S(見せ方・見え方)

清掃記録表を洗面台の近辺に張っているのを見かけますが、ディズニーではゲストの見える位置には張らずに、SK室に張っています。「こんなにやってきれいにしてます」とアピールしたいのでしょうが、単なるエクスキューズ(言い訳)にしか見えません。きれいか汚いかは利用者が判断するものだと思います。

4. E(効率)

ゲストの滞留を防ぐために鏡は洗面台の前に設けずに別の場所に設けています。また、便座のふたは必要ないので、当初から付けていませんし、男女レストルームの双方から入れる構造のSK室を設置するなどと効率化を図っています。

レストルーム清掃の1日の流れ

最後にレストルームの清掃の1日をご紹介します。
レストルームの清掃は1日を4つにわけて作業を行っています。

1. ナイトカストーディアル作業
便器、シンク、室内、洗浄拭き上げ、換気口・照明周り、ファサード清掃を深夜12 時ころより開始します。

2. オープニング作業
器具安全作動点検、清掃仕上がり点検、ペーパー・シート補充などを行います。

3. 日中作業
巡回清掃(最長でも45 分ごと)では、レストルームを閉めずに、ゲストをコントロールしながら清掃し、トイレットペーパーは残量が4分の1くらいで交換します。

4. クロージング作業
床はき、不具合報告、ペーパーの数量などのサプライ申請を閉園の1時間前から開始します。
この4作業を継続して毎日行っており、それぞれが次のチームの作業が行いやすいように引き継ぎ方法などを考え行動しています。

清掃と清潔の大切さを発信

トイレ事情は国によってさまざまです。トイレットペーパーが備えられていない所や、衛生面で非常に遅れている所もあります。まさにトイレを見れば文化レベルがわかるといった状況です。

日本はトイレ設備や清掃が進んでいる国ですが、少し前までは、公衆トイレなどは汚いものでした。それが今日のきれいな状態になったのは、ディズニーが清掃や清潔の大切さを発信したことで、皆がそれに気づいたからと言っても過言ではないでしょう。

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