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新型コロナウイルスの影響と課題❷
ビルメン企業経営のこれから

2020年5月に実施した新型コロナの影響調査によれば、「経営に悪い影響があった」と答えたビルメン経営者・管理職は81.6%にのぼり、具体的な影響として、売上の減少(74.1%)、業務の縮小・延期・中止要請(63.7%)との回答が上位を占めた。

非常事態宣言が解除された5月から6月にかけて収束するかに見えたが、世界的にも感染拡大は止まっておらず、7月以降、新規感染者数が増加傾向にあって、第2波、第3波への警戒が必要な状況だ。新型コロナの影響は長期化が必至であり、これに合わせて経済状況の悪化が長期化すれば、当然、ビルメンテナンス業界も影響は避けられないだろう。

一方で、テレワーク化の推進が進むことも予想され、働き方改革と相まって、オフィスの縮小化による不動産市場の流動化も懸念されるところである。今後、不動産およびビルメンテナンス市場はどのように変化していくのか。

本誌編集委員長の松本卓三氏がビルメンテナンス企業経営者およびビルオーナーを訪ね、変貌する業界の将来像や企業戦略について語り合う。

コロナ後のビルメン業界を経営者はどう見るか

新型コロナの影響はビルメン経営にどんな影響を与え、今後どう変わっていくべきか。アンケート調査だけでは見えない課題認識や戦略があるはずで、直接話を聞くことで、より具体的な解決策が見えてくるのではないか。ビルメン業界が進むべき方向性のヒントを、日本を代表するビルメン経営者から探ってみた――。

5月の調査結果について経営トップに聞く

新型コロナウイルスが、ビルメンテナンス業界に与える影響については、本年5月に本誌が行ったアンケート調査によれば、「経営に悪影響があった」と回答したビルメン経営者は81.6%にのぼり、具体的な影響として、売上減少(71.4%)、業務の縮小・延期・中止要請(63.7%)との回答が上位を占めた。

世界的に感染拡大が止まらず、日本においても緊急事態宣言解除後でも感染者数の増加が続いていて、第2波発生かとも危惧されているが、どうやら新型コロナの影響の長期化は必至といってよいだろう。

現在、大手企業を中心にテレワーク化が進み、働き方改革によってオフィス市場の流動化も懸念される。この状況下で、不動産市場およびオフィス需要はどう変化し、それがビルメン市場に今後どう影響を及ぼしていくのか、いくつかのビルメンテナンス企業の社長に話を聞いた。

その結果、さまざまな見通しや考え方を聞き、多くのヒントを得ることができたので、各社において、コロナ禍での経営戦略の参考にしていただければと思う。

新型コロナの影響はどうだったか?

1 経営への影響
ビルメン企業では、新型コロナの影響は多少あったようであるが、それほど大きいものではなかった。その理由として、顧客に大手不動産のオフィスビルや大手企業ビルが多いことや、きめ細かい営業戦略(豊富な営業マンと顧客専任性など)が功を奏したことなどがある。施設としての影響度は商業施設やホテルが大きかったようで、地域としては首都圏の現場での影響があったとのことである。

2 影響が出た場合の従業員対策
人員の配置転換やシフト変更による対策によって、人員削減なしで乗り切る方針が多く、自宅待機の場合でも、各社は100%休業手当を支払うことで、従業員離れを防ぐやり方を取った企業が大半であった。

3 影響はどれくらい続くのか
共通して「2年以上」であった。理由としては、世界的に感染が増大していることと、ワクチンの開発は進んでいるようだが、安全性、副作用の検証は簡単にいくとは思えず、実際のワクチン接種までには相当時間がかかるということであった。本誌アンケートでは、2年以上は10.9%であったが、経営トップはより厳しい見方をしており、それに対する経営方針の策定と社内の引き締めを考えているものと推測できる。

4 テレワークの促進について
取材した各社は、ピーク時は50%近い社員のテレワーク度であったが、今後テレワークが継続するかについては、意見が分かれた。
テレワークの推進に積極的な企業は、営業や業務管理面で支障は少なく、社会情勢としてテレワーク化が進んでいくのは避けられないと見ている。一方、慎重派は社員コミュニケーションとモチベーション上、問題点が多く、生産性に影響が出るのではないかと考えている。

2020年9月号より

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