ウェブで、雑誌で、セミナーで。清掃スタッフのための教育支援サイト。

ビルクリーニング オンライン

ビルクリーニングを読む

【新連載試し読み】ISO41012を読み解く

JFMA認定ファシリティマネジャー/IICRC認定インストラクター
吉廣幸夫

プロローグ
いま、なぜISO41012なのか〜清掃の負のイメージを断ち切るために〜

はじめに
清掃につきまとう負のイメージ

筆者が本誌2018年12月号に発表した特集「FMのISO規格で清掃はどう変わる?」からすでに2年以上が経過しました。
その間、本誌では清掃業界におけるファシリティマネジメント(以下、「FM」と記載)展開のパイオニアとも言える松本卓三氏の連載(2019年4月号〜12月号)が掲載され、氏の先進的な取り組みを垣間見ることができたのは大きな収穫でした。「にわかFM資格者」の筆者ら、豊富な実務経験に裏打ちされた氏の論考に心から敬意を表したいと思います。
氏から私たちに寄せられるエールは、「清掃実務をになう事業者こそFMを理解し、次の飛躍につなげてほしい」ということでしょう。氏も指摘されているように、総合・統合ファシリティマネジメントの提供をうたい文句に市場の寡占化を進めているのは超大手のビルメンであって、圧倒的多数を占める中小規模事業者の大半は、「FMなんて縁遠いもの」と思い込んでいるのではないでしょうか。
当該者からご批判を受けることを覚悟のうえで言えば、超大手といえども、その内実は決して盤石ではないように見受けます。

営業に特化した企業のおちいりやすい傾向として、

・現場のリアル(現実)やファクト(事実)に対する理解が希薄
・結果として大手どうしが「価格ありき」でたたき合いをしている

というのが実態、との疑念を拭うことができません。
たたき合いをしたあげくの請負金額は低すぎるし、さらに過大な「中抜き」をされたのでは現場業務をになう事業者はたまったものではありません。

・提案書は一流なのに業務内容は三流
・しょせん清掃はこの程度

という負のイメージがつきまとうようでは、私たちの社会的ポジションは上がりません。
 悔しいではありませんか!

take 1
FMを戦略の中核に

悔しい、という言い方は感情的です。しかし人間は感情の動物でもあります。そのことを直視し、バネにしながら次のステージに立つための戦略を冷静に組み立てたいと考えます。その戦略のかなめになるのがFMです。
ISOがFM全般に関する取り決めをISO41001(以下、「41001」と記載)として認証規格に制定したのですが、その「41001」を補完するものとして、具体的にファシリティサービスを調達するためのガイダンスがISO41012(以下、「41012」と記載)として発行されて います。ファシリティサービスの供給側に立つ私たちにとって、実務の中核に位置づけられるものです。
より具体的なイメージで言えば、

現場業務をになう私たちが考え、学び、実践してきた知識・経験・技術を集約し、お客様であるビルオーナーや大手元請けに正しい情報としてインプットし、方向づけをし、イニシアティブをにぎりながら適切な価格でより良い役務を提供する

そのための拠点となるのが「41012」なのです。
この「41012」を理解し、実際に応用していくことで、<低価格=低品質=低賃金=低評価>の負のスパイラルを断ち切る局面が見えてくるはずです。その具体的手法を、今回の連載で考えていきたいと思います。

今回、筆者が論述する内容はあくまでも筆者の主観によるものであり、第三者によって何らかのオーソライズを得たものではありません。
なかには曲解や誤解、あきらかな逸脱が指摘される事項もあるでしょう。また、筆者自身にとってピンとこない部分をかなり省略しましたので、肝心のところが「骨抜き」になっていないか心配です。しかし、そうした部分はあえて読者の今後の議論・検討にゆだねたいと考えます。批判の臆病風に吹かれて何も言いださないのでは、ものごとは前に進みません。
清掃業界に一石を投じ、そのことに触発された業界の皆さんが発想と行動の変容を勇気をもって起こしていただくことが、この連載の本旨です。さらにそのことが、日本社会の清掃に対する認識を変えることにつながり、清掃業界の地位向上を通じて豊かな社会に貢献できるものと信じます。

2021年5月号より

この記事の掲載号を月刊誌で購入
この記事の掲載号を電子版で購入

クリーンシステムのサービス

本の購入はビルメンブックセンターで
写真付き報告書作成アプリ 123Reporter
クリーンシステムのメールマガジン登録の案内
入札王
広告出稿の案内