2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏によって、リチウムイオン二次電池(繰り返し充放電が可能なもの)が発明された。私たちの生活に欠かせない携帯電話やパソコンなどに用いられ、身近なアイテムとして知られている。
清掃用機械では、鉛蓄電池がなじみ深いが、ケルヒャー社では近年、「自動床洗浄機編」その2でも紹介したとおり、一部の自動床洗浄機にリチウムイオン電池が採用されている。
清掃でも広がるリチウムイオン電池
リチウムイオン電池の長所は、充電・放電効率が良く、それでいて寿命が長いこと。また、汎用性が高く、欠点という欠点がないことから、携帯電話から自動車までさまざまな用途に利用されている。
そのため、ケルヒャー社製の自動床洗浄機は、鉛蓄電池を採用している自動床洗浄機と比べて、充電時間が早く、本体容量も軽いなど、現場の運用で役立つ魅力が詰まった構造となっている。
同社では、こうした知見をもとに、バキュームクリーナーの一部、コードレス化製品のラインナップを強化している。それが、ドライクリーナー「T 9/1 Bp」とハンディバキュームクリーナー「HV 1/1 Bp」である。
「T 9/1 Bp」
日常清掃の除塵作業で活躍が期待できる安全・安心のコードレスドライクリーナー
「HV 1/1 BP」
ストラップをつけることで、ショルダー式としても使うことができるハンディバキュームクリーナー
今年の2月には、乾湿両用バキュームクリーナー「NT 22/1 Ap Bp」などもラインナップに加わり、一つのバッテリーで複数の清掃機器を動かせる「バッテリーユニバ゙ース」という構想まで始動した。
それではなぜ、ケルヒャー社がコードレスを推し進めるのか。その背景には、「自動床洗浄機編」その1でも触れた「カスタマーセントリック:お客様中心主義」がある。バッテリー式ならではの機動力と電源を確保せずとも使用できる手軽さが、ユーザーの清掃業務の効率化、あるいは利便性に貢献できると考えるからだ。