NTTグループの一員として半世紀以上にわたり実績を積み上げてきたテルウェル東日本(株)。確かな技能教育を進める一方で、最新マシンの導入にも積極的で、東京都港区にある高層複合ビル・グランパークタワーでは、ケルヒャー ジャパンの「BR 30/4 C Bp」が導入されて以降、定期清掃におけるトイレの床面洗浄作業が激変。ポリッシャーを中心とした 洗浄作業がこれまでの3人1組という体制から1人作業となり、高い品質を保ちながら、劇的な省人化に成功した。同社の働き方改革と現場でのマシン運用を取材した。
協力=テルウェル東日本(株)/ケルヒャー ジャパン(株) 写真=渡辺智宏 取材・文=比地岡貴世
清掃マシンを厳選にセレクト
3名で行っていた一部の洗浄作業を
1名体制でもこなせるようになりました
テルウェル東日本(株)
第一サービスマネジメント部門 清掃担当 担当課長
澤部 祐司 氏
導入製品
「BR 30/4 C Bp」
2年に1度開催される「全国ビルクリーニング技能競技会」は、日本一の技能士の栄光をかけ、各地区の予選会を勝ち抜いた精鋭たちが集う競技会として知られている。テルウェル東日本(株)は、第2回大会で初出場して以来、これまで過去11人の地区代表選手を輩出。全国優勝(厚生労働大臣賞)は3回を誇り、競技会における〝東の横綱〟とも言える超強豪企業である。
同社にはこうした実績を裏付ける、充実した社内研修制度がある。基礎教育や専門教育といった階層別の研修コースの他に、ビルクリーニング技能士など公的資格研修も設け、延べ400名以上のビルクリーニング技能士を輩出してきた。
人材教育に注力する一方で、近年では、働き方改革を意識し、新たな清掃手法の模索を始めた。清掃ロボットの検討を進めるプロジェクトチームを立ち上げたり、清掃マシンの見直しを図ったり、積極的な改革を進めている。同社の第一サービスマネジメント部門清掃担当の澤部祐司課長は、その背景をこう語る。
「2018年ごろから、新規で受託した現場に、新しい清掃資機材を導入して、仕事のやり方を変えていこうと考えました。その現場でうまくいった事例を全体的に広めていくという試みです。やはり、技術者を育成するというのは、時間と労力がかかります。特に、定期清掃での洗浄作業における技術者が年々減少傾向にあるなかで、誰でも使えるものを積極的に導入していきたいと考えるようになりました」
2018年、清掃マシンメーカー5社、そして現場責任者を30名ほど集め、掃除機、自動床洗浄機、スイーパー などの品評会を行った。そのなかで、優先的に導入を進めたのは、日常的に使用する掃除機のコードレス化だった。単に、電源の抜き差しによる手間を省くというだけでなく、近年のオフィスビルでは電源が使用できないケースも増えていることから、導入実績は800台を超える。
次に検討したのが、床面の洗浄作業。人材不足でも影響を受けないよう、誰でも簡単に扱えるマシンを中心にセレクト。そこで、狭い通路、場所で使用できる床洗浄機として選ばれたのが、ケルヒャー ジャパンの「BR 30/4 C Bp」だった。
26施設で導入が広がる
「BR 30/4 C Bp」は、アップライトバキュームのような形状が特徴的な、コンパクトなバッテリー式床洗浄機である。一般的な自動床洗浄機は、広いエリアを洗浄することを得意とする一方で、本マシンは、部分的な洗浄作業に適している。 テルウェル東日本もそこに注目した。
「このようなサイズの洗浄機で洗うだけという機種はありましたが、汚水まで回収するものがありませんでした。誰でも簡単に扱えて、さらに作業工程を減らすことができるため、汎用性があると思いました」
「BR 30/4 C Bp」の床洗浄から汚水回収まで(イメージ)
①洗浄水タンク、②ローラーブラシ、③吸い込み口、④汚水吸い込み、⑤汚水タンク
いまでは26施設で導入が広がり、なかでも、グランパークタワー(東京都港区芝浦)では、定期清掃でのトイレの床を洗浄する作業に活用し、劇的な作業改善に成功した。
この現場は、JR山手線・京浜東北線の田町駅から徒歩5分の高層複合ビルで、メインのオフィスエリアは2 階〜34階、商業エリアのグランパークプラザは1階から地下1階に位置し、和食、洋食、カフェといった飲食店から食料品スーパー、コンビニなどが揃う。延べ床面 積は約16万m²に及ぶ。
この現場の日常清掃から定期清掃まで担当するのが、テルウェル東日本の総勢43名のスタッフたちである。 すでに作業の機械化が進み、タイルカーペット中心のオフィスエリアでは、コードレス掃除機やカーペットスイーパー、さらにはロボット掃除機を使い分けている。
商業エリアは花崗岩床がメインとなっているため、中型、大型の自動床洗浄機を用いて洗浄作業を実施している。 こうした機械化の清掃オペレーションが進んでいるなか、定期清掃でのトイレの床洗浄作業において、改善の余地があると感じていた。